ベートーヴェン 3大ソナタ 「悲愴」「月光」「熱情」
(IMCM-1010)
録音: 2009年5月27~28日 彩の国さいたま芸術劇場 音楽ホール
解説: 諸石 幸生
JAN: 4560236500195
ショパン国際ピアノコンクール第11回第3位入賞 / 第15回審査員。
緊迫感と豪快さを失わないエネルギーに満ちあふれた演奏!
3曲全体で一つのドラマを見せる、ヤブウォンスキならではの新しい三大ソナタ!!
「2009年レコード・アカデミー賞録音部門」受賞エンジニア小坂浩徳氏による録音!
ライナーノートより(一部抜粋)
ベートーヴェンの三大ソナタが収められたアルバムそれ自体は何も珍しいものではないし、中堅世代の名手にもこと欠かないピアノ界ではある。しかし、ヤブウォンスキが繰り広げるベートーヴェンの世界は、生命力が凝縮された力強い説得力に満ちあふれており、感銘はすこぶる大きい。それは近年、聴く機会の少なくなった英雄的ベートーヴェン像ということもできるが、ヤブウォンスキの素晴らしいところは、そうした輝きの背景には、ハッとするような陰影感が確保されており、詩情と気品、芳しい香りと幻想性までが兼ね備えられている点であろう。また三曲全体で一つのアルバムとしての魅力、起伏とドラマを見せてしまう辺りも、近年のヤブウォンスキならではの成果と言えよう。
充実したヤブウォンスキの現在を知らしめる密度濃いベートーヴェンの新録音である。
収録曲目
L.v.ベートーヴェン
ピアノ・ソナタ 第8番 ハ短調 Op.13「悲愴」
01.第1楽章
02.第2楽章
03.第3楽章
ピアノ・ソナタ 第14番 嬰ハ短調 Op.27-2「月光」
04.第1楽章
05.第2楽章
06.第3楽章
ピアノ・ソナタ 第23番 ヘ短調 Op.57「熱情」
07.第1楽章
08.第2楽章
09.第3楽章
プロフィール
1965年ポーランドのヴロツワフに生まれる。6歳の時ヤニナ・ブートル氏に師事し12歳まで指導を受ける。最初の演奏会は、12歳の時オーケストラとの共演であった。ポーランドで開催された数々のコンクールで第1位に入賞する。15歳の時、最年少参加者として、ミラノで開催されたピアノ・コンクールにて、第5位に入賞。それからまもなく審査委員長を務めていたニキタ・マガロフ教授に招かれ、スイスのジュネーブで開催されたマスタークラスに参加。1983年から1986年まで、ポーランドのカトヴィッツェ音楽院にて、アンジェイ・ヤシンスキ教授の指導を受ける。1987年優秀な成績で同音楽院を卒業、 1996年にはP.h.Dを取得。
1985年ワルシャワで開催された第11回ショパン国際ピアノ・コンクールにて第3位に入賞。それと同時に数々の副賞も受賞する。同コンクール入賞後、国内外の各地より演奏会の依頼を受ける。彼の際立った音楽的才能は、その他の著名なコンクールでも認められていた。USAパームビーチ第2回国際ピアノ・コンクール(1988年)では第1位並びに最優秀ショパン賞を、イタリアのモンツァ第10回国際ピアノ・コンクール (1988年)でも第1位を獲得、アイルランドのダブリンGPA国際ピアノ・コンクール(1988年)にて第2位。第4回アルトン・ルビンシュタイン国際ピアノ・マスターコンクール(1989年)にて金賞、ニューヨーク・ウォルター・ナウムブルグ財団国際ピアノ・コンクール(1992年)入賞、カナダのカルガリーでの第1回イーザー・オーネス国際ピアノ・コンクール(1992年)で第2位入賞。
20代はヨーロッパを初め、北アメリカ・メキシコ・イスラエル、そして日本でツアーに参加している。演奏した会場はベルリンフィルハーモニー(ここではマスターコンサートシリーズに2回登場した)、ライプチッヒのゲバントハウス、ドレスデンのセンペルオパー、パリのサル・カヴォー、ワルシャワのナショナルフィルハーモニーホール、モスクワのボリショイ劇場、コペンハーゲンのチヴォリコンサートホール、テル・アヴィヴのF.マンアウディトリウム、ハイファアウディチリウム、ニューヨークのアリスチューリーホールなどがあり、共演した指揮者たちもM.ベルナルディ、A.ボレイコ、S.コミッショナー、K.カスプシク、J.ロペ-コボス、G.ノヴァク、K.ペンデレッキ、W.ロヴィツキ、Y.テズカ、R.ゾルマンら錚々たる顔ぶれである。室内楽においても、ディザート・ストリング、イスラエル弦楽オーケストラ・弦楽四重奏、A.クルカ、T.ストラール、W.ウィルコミルスカと共演。
一方テレビラジオなどの録音も国際的に行っている。1998年2月J.クレンツ指揮シンフォニア・ヴァルソヴァイアとショパンのクラコヴィアクを演奏、この演奏会はヨーロッパの23のラジオ局でライヴ放送され、ヨーロッパ・ラジオユニオン(EBU)の記念行事の一環としても取り上げられた。1998-1999年のシーズンには、ショパン年に伴い、世界各地の記念行事に招待される。ショパン没後150周年を記念して、ワルシャワの国立歌劇場で開催された演奏会に出演、また、モスクワのボリショイ劇場で開かれた、ロシアにおけるショパン年記念演奏会にも出演する。1999年には「フォルテピアニシモ」というバレエ音楽の演奏を依頼される。2幕からなるこのバレエはショパンの音楽に基づいて構成されており、振り付けはロルカ・マッシーネが担当した。このピアノとバレエの競演という他に類をみない公演は、ワルシャワ国際歌劇場にて6回上演された。
1999年クシシュトフ・ヤブウォンスキは、トルコにおける「ショパン年」に貢献した功績と、クラシック音楽普及に尽力した功績によりトルコ文化省より表彰された。後進の指導にも力を入れており、毎年、ワルシャワショパン音楽院主催のサマーセミナーにもピアニスト・講師として出演。2004年からは同音楽院にて、ピアノ科教授として指導にあたっている。
2005年には第15回ショパン国際ピアノコンクールの審査員に選出された。また同年から、ショパン国際ピアノコンクールin ASIAにおいても審査員を務めている。現在、カナダのカルガリー在住。